タバコには約4000種類の化学物質が含まれており、その約200種類が有害物質です。この有害物質の中でも、「ニコチン」、「タール」、「一酸化炭素」は人体に悪影響を及ぼすものとして知られています。これらを含むタバコを吸うことによって、入れ歯の方にも悪影響を及ぼすことがあるのです。その多くが「歯周病」と「入れ歯の着色」です。

喫煙と歯周病の関係性

喫煙している方は、非喫煙者に比べて歯周病のリスクが高くなるといわれており、タバコに含まれる「ニコチン」、「タール」、「一酸化炭素」が主な原因なのです。ニコチンは血管を収縮させる作用があることから、歯茎の毛細血管を収縮させてしまい血流が悪くなります。また、一酸化炭素は体内の血中ヘモグロビンと結合し、「一酸化炭素ヘモグロビン」を形成するため、血液の酸素運搬を妨害します。それにより歯茎へ酸素や影響が行き届きにくくなるので、細菌感染を防ぐ好中球などを含む白血球が減少し、歯茎が免疫低下を起こしてしまいます。そのため歯茎が口腔内の歯垢中の歯周病菌に感染し、炎症を起こす歯周病のリスクが高くなるのです。さらに通常、歯周病が進行することによって歯茎が腫れると出血を起こすため、ご自身で気付くことが多いのですが、喫煙者の場合はニコチンによって血管が収縮されるので出血が抑えられてしまい、気付いた時には重症化していることも少なくありません。

歯周病は、日本人の30代以上の8割が罹患もしくは予備軍といわれている国民病の一つです。進行すると歯茎から歯を支えている歯槽骨に炎症を広げ、徐々に骨を破壊していきます。最悪の場合は骨が歯を支えられなくなり、歯が脱落してしまうのですが、喫煙者は自覚症状がより見られづらいため、歯を失うリスクも高くなるのです。

入れ歯の方の喫煙について

入れ歯の方が喫煙することによって、歯周病のリスクが高くなります。歯周病は進行すると骨を破壊するため、それに伴い歯茎も徐々に痩せてしまいます。それによって、入れ歯が合わなくなる可能性もあるのです。入れ歯が合わなくなるとズレたり外れやすくなり、違和感や痛みを生じる原因になりますし、会話や食事中に口元が気になってしまい楽しむことができなくなることも少なくありません。それだけでなく、部分入れ歯は隣接する歯にクラスプというバネを引っ掛けて入れ歯を固定するのですが、クラスプを掛けた歯は継続的に負担がかかるので、ダメージにより歯周病のリスクが高くなるケースも考えられます。歯周病は最終的に歯の脱落を招くため、もしも進行した歯周病によりクラスプを掛けた歯を喪失してしまうと、より大きな入れ歯を作製し直さなければなりません。

さらに、タバコに含まれるタールは「ヤニ」となって歯に付着します。ヤニが付着することで歯が黄ばみや口臭の原因になりますし、ヤニからニコチンが染み出すため、タバコを吸っていなくても歯茎に悪影響を与え続けるのです。入れ歯においてもヤニが付着することで着色汚れを起こし、審美性を損なう原因になります。特に保健適用の部分入れ歯の場合、クラスプが金属なので、歯に強い負担が加わることから歯周病のリスクが高くなります。他にも、タバコによる血管収縮が原因で歯茎が黒ずむことがあります。これも審美性を損なう要因になります。

ご自身でのお手入れには注意しましょう

入れ歯は外してお手入れすることができるため、毎日適切に清掃することで細菌の除去や着色汚れを防ぐことも可能です。ただし、入れ歯に歯磨き粉をつけて強い力で磨くのはやめましょう。歯磨き粉の種類によっては研磨剤が含まれているものもあり、入れ歯の表面を傷付ける原因となってしまうのです。入れ歯は専用のブラシで優しく磨き、1日1回専用の入れ歯洗浄剤に浸けてお手入れしてください。

限り禁煙することをお勧めいたします

喫煙することは、歯周病のリスクを高めたり入れ歯の変色を招きます。歯周病は歯科医院で治療することができますが、歯周病によって歯茎が下がり入れ歯が合わなくなってしまった場合は、入れ歯を作り直さなければならないケースもあります。また部分入れ歯のクラスプを掛けた歯が歯周病に罹患すると、最悪の場合は歯を失うこともあり得ます。ヤニによる変色は、歯科医院での歯のクリーニングを受けることで改善が可能ですが、喫煙を続ける限りヤニの付着は免れません。そのため、入れ歯の方もご自身でのケアを徹底しながら、定期的に歯科医院での健診や歯のクリーニングを受けることが重要なのです。しかしながら、入れ歯を長期間使用することやご自身の健康のことを考えると、禁煙することが最も望ましいといえます。